2006年3月3日金曜日

「漁業への新規参入促せ!」(水産総合研究センター理事、小松正之)



今朝の日経「経済教室」。漁業を広く一般国民に開かれた場にしないと日本漁業の将来はないと。全く同感。農業についても同じことが言える。

抜粋:
  1. 日本の水産業は縮小が続き、このままでは現状維持することすら困難。漁業制度の抜本的な改革に踏み切る必要がある。
  2. 日本の水産業は明治維新と第二次大戦以来の困難に直面している。明治政府は沿岸の海を官有海面とする改革を行った。戦後は漁業を農地改革と歩調を合わせ、漁業を民主化し(明治以来の制度を抜本的に変え)現行の制度を作った。
  3. 高度成長期には遠洋漁業で大いに発展。しかし77年の200海里設定に伴い、衰退が始まる。
  4. 日本の漁業のピークは、生産量が1282万トン(84年)、生産額が2・97兆円(82年)、就業者数が79万人(53年)で、現在はそれぞれ573万トン、1・6兆円、23万人と大きく減少している。自給率は100%から55%に半減。
  5. 漁業就業者の高齢化が進んでおり、三分の一が65歳以上。
  6. 日本の水産業を活性化するためには、現行制度を維持した上での改善策ではなく、生産構造や法制度を抜本的に改革する必要がある。
  7. まず第一に、漁業を広く一般国民に開くべき。現在の漁業制度では、漁民以外のものが新たに漁業に参入できない。2001年に制定された水産基本法は新規参入を奨励しているが、魚業法や水産業協同組合法が改正されないため、障壁は残ったままである。
  8. 第二に、資源や海洋環境の保全。乱獲を防ぐために総合計漁獲量を定めるべきだ。
  9. 第三に、漁船の現象を踏まえ、漁港の建設に充てられる公共事業費を漁船の新規建造費への財政支援などに振り向けるべきだ。
  10. 第四に、漁村地域社会を都市住民などの憩いや学習の場所として提供するべきだ。画一的なイベントホールの建設などに代えて、人々が海に接するス ロープや自然の海岸に戻す事業とするべきだ。消波ブロックは侵食や景観に悪い。また日本産業自体のIT化が進んでいることで臨海工業地帯の必要性も薄れて いる。

小松氏は、エール大学経営学修士、農学博士。農水省を経て現職。まさにインサイダーである。内からの提言でありながら勇気ある革命的な主張であり説得力がある。


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